ビール・発泡酒・新ジャンルの選び方
ビール、発泡酒、新ジャンル。ビール系飲料には、いくつかの種類があります。
酒税法上では「ビール」と「発泡酒」の2つの定義が定められており、新ジャンルと呼ばれるものは「その他の醸造酒」「リキュール」に分類されます。
ビールと発泡酒
ビールとは、原料(水・ホップを除く)における麦芽の使用率が2/3以上で、これに米・コーン・スターチなどビールに使用が許されている副原料が使われたものをいいます。
副原料が使われず麦芽のみ使用されているのが「麦芽100%」のビールです。
一方、発泡酒は麦芽の使用率が2/3未満で、ビールでは使用できない副原料の使用も可能です。
また麦芽の使用率が2/3以上であっても、例えばベルギービールのようにコリアンダーやオレンジピール等の副原料が使われたものは発泡酒の扱いとなります。
新ジャンルと呼ばれるお酒は、麦芽を使用せず穀類などを原料としたものと、麦芽を使用した発泡酒にスピリッツなど別のアルコールを加えたものがあります。
遺伝子組換え作物の使用
発泡酒派でなくビール派は「おいしいから」というシンプルな理由からビールを選ぶ人も多いようです。
しかし家計も楽ではない昨今、「安いから」という理由で発泡酒や新ジャンルに手を伸ばす人も多いことでしょう。
それでも、発泡酒や新ジャンルではなくビールをすすめる理由は「遺伝子組換え作物」にあります。
発泡酒や新ジャンルに使用されるコーンスターチは遺伝子組換え作物が使用されているのです。
ビールには、GMO(遺伝子組換え作物)を使用した場合表示義務があるため、いまのところビールではGMOは使用されていません。
しかし、発泡酒や新ジャンルについては表示義務がないため、大手各社は2015年頃からGMOの原料を使用するようになりました。
遺伝子組み換え作物の人体への影響は、食品添加物以上に未解明の部分が多いので、できる限り避けるようにしたいところです。
酒税法による税率の違い
発泡酒、そして新ジャンルが生み出された経緯は、酒税法による税率の違いによります。
ビールより発泡酒、発泡酒より新ジャンルのほうが税率が低いのです。
具体的に350ml缶あたりの税額を見てみましょう。
ビール 77円
発泡酒(麦芽比率50%未満) 62円 ※市場には商品が無い
発泡酒(麦芽比率25%未満) 47円
新ジャンル 28円
ビールの税額がかなり高いことがわかります。350ml缶のうち77円が酒税ということです。
対して新ジャンルは350mlあたり28円とビールと比較して49円も安いのです。
当然のことながら、これらは小売価格にも反映されます。新ジャンルが安い理由は、酒税が安いからなんですね。
ただ、これらは将来的に55円に統一される案が出されており、ビールは値下げ、それ以外は値上げの方向になりそうです。
麦芽100%ビール
ビールの本場ドイツでは「麦芽100%」以外のものはビールとして認められません。
本物志向からいえば、麦芽100%のビールを選びたいところです。
地ビールでも、麦芽100%でおいしいものが増えてきました。
しかし、実は副原料にも役割があり、コストを下げるなど消極的な理由ではなく、後味やキレのよさを出すことを目的として使われているケースがあります。
また、ベルギービールのように、多種多様な味や香りや色を作り出す目的で使われる副原料もあります。
そういう意味では、麦芽100%に拘らなくてもよいでしょう。