日本酒の選び方
日本酒というと、どのようなイメージを持つでしょうか。
「悪酔いする」というイメージから敬遠する人がいる一方、地酒の奥深さに魅了される人も増えているようです。
日本酒の国内出荷量はピーク時の170万kℓ超から、現在は60万kℓを大きく割り込むまでに落ち込んでいます。
一方、地酒に代表される「特定名称酒」の出荷量は平成22年に底を打ってからは順調に推移しています。
特定名称酒とは
特定名称酒とは、「純米大吟醸酒」「大吟醸酒」「純米吟醸酒」「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」「特別純米酒」「特別本醸造酒」の8種類です。
見分け方は「純米」の文字があれば原材料は「米、米こうじ」のみ、それ以外は「醸造アルコール」が添加されます。
以下、表にまとめました。
平成15年までは純米酒の精米歩合は70%以下と規定されており、単純に「精米歩合×使用原料」の組み合わせで表が作れたのですが、純米酒については精米歩合の規定が外されました。
これは、意図的に精米歩合を低くすることで特徴的な味を醸す銘柄が増えてきて、一括りに精米歩合で名称を規定することに無理が出てきたからです。
ほかに、醸造アルコールの添加量は原料に用いる白米の総重量の10%未満、麹米使用割合が15%以上、香味、色味が良好といった要件が定められています。
「特別な製造方法」とは
少し分かりにくいのが、「特別純米酒」と「特別本醸造酒」です。
要件に「特別な製造方法」とありますが、では具体的にこの「特別」というのはどのような製造方法のことをいうのでしょうか。
実は、これについて明確な規定がなく、各酒蔵の裁量にまかされている面があります。
例えば、醪の発酵日数が長かったり、木桶しぼりであったり、無農薬米を使用しているなど、製造方法だけなく原料について特別というケースもあります。言ったもん勝ちな部分もありますね。
特定名称酒以外のお酒とは
「特定名称酒」以外のお酒のことを「普通酒」といいます。
麹米の割合が15%以下、醸造アルコールの使用割合が10%以上であれば、普通酒に分類されます。
醸造アルコールのほか、糖類や酸味料などが添加されているものもあります。
その昔は「三増酒」といって、醸造アルコールで三倍にまで増量された日本酒が広く出回っていました。
これらは確かに「悪酔い」することが多く、日本酒の印象を悪くしてしまった原因とも言われています。
2006年の酒税法改正により、副原料の使用量が白米重量の50%以下と変更され、現在は三倍ではなく二倍までしか増量できません。
が、いずれにしても二増酒で、「悪酔い」することに変わりはないでしょう。
また逆に「普通酒」でも精米歩合がちょっと低いだけで、本醸造酒に匹敵するような、いわゆる「安ウマ」銘柄もあります。
大吟醸に醸造アルコールを添加するのはなぜ?
三増酒の主役である「醸造アルコール」には、あまり良いイメージがありません。
しかし、大吟醸酒や吟醸酒といった、精米歩合が高いのに醸造アルコールが添加されているものがあります。
これは、醸造アルコールを使用する目的に違いがあります。
いわゆる安酒に添加される醸造アルコールは「増量する」ことを目的に大量に添加されます。
これに対して、大吟醸酒や吟醸酒に添加される醸造アルコールは、後味をスッキリとさせたり、キレを出したり、発酵を抑えることで品質を安定化させるために、少量添加されます。
つまり、あくまで積極的な理由で醸造アルコールを添加しているのです。
迷ったら純米酒を選ぶ
専門店であれば、お店の人に好みと予算を伝えて、最適な日本酒を選んでもらうことができます。
しかし、近くに専門店がなかったり、そもそも自分の好みを知らなかったりする場合もあるでしょう。
そんな時は「純米酒」を選びましょう。
純米酒には主に「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」がありますが、精米歩合が高くなるほど価格も高くなる傾向にあります。
そこで、まずは「純米酒」。
四合瓶(720ml)で1,500円ほどの純米酒を選べば、大きくハズレることはないと思います。
また余談ですが、日本酒は「冷酒」と「冷や酒」は違う温度帯になります。
「冷酒」は冷蔵庫などで冷やしたもの、「冷や酒」は常温のものになるのでお間違いのないよう。
「燗酒」はあたためたもので、温度によって「ぬる燗」や「熱燗(あつかん)」などいくつかの呼び方があります。
冷酒向き、冷や向き、燗向きとそれぞれのお酒に向いた飲み方があるので、自分好みの飲み方に合わせた日本酒を探してみてください。